コラム執筆者:柔道整復師 新藤 公一
杉並区・阿佐ヶ谷で整体をメインに行う
バランス・ラボ整骨院、代表の新藤公一です。
診察・検査で関節には異常なし?!
膝に痛みを感じて整形外科を受診し
レントゲンやMRI検査の結果
「関節には異常ありません」
と言われたケース。
これは一見、安心できる診断結果に思えます。
膝関節に異常がない=関節が壊れていないという意味
なので、それ自体は非常に良いことです。
膝関節は一度損傷すると
特に関節内部に関して申し上げると
自然には元に戻りにくい繊細な構造をしています。
関節周囲の骨の異常、関節の変形や炎症などが
見られないのは大きな希望と言えるのです。
しかし多くの方がこう感じるはずです。
「関節に異常がないのに、なぜ膝が痛いの?」
実は、ここに本当の“膝の痛みの原因”が隠れています。
筋肉・筋膜の問題が膝痛を引き起こす?
膝関節は、関節単体で動くものではありません。
膝を動かしているのは、周囲の筋肉や筋膜です。
歩く・しゃがむ・階段を上るといった動作は
筋肉の力によって初めて実現します。
骨だけでも筋肉だけでも関節は成立しない
そんな解釈になります。
つまり、関節自体に問題がなくても
筋肉や筋膜の緊張・炎症・バランスの乱れ
があれば、膝には痛みや違和感が生じるのです。
関節の痛み=筋肉や関節周囲の軟部組織に
よる痛みの可能性があると考えられます。
昨今、高性能化した画像検査機器でも
「筋肉レベルの問題」は、画像検査では映らないことがほとんど。
そのため「異常なし」と診断されても、痛みが残ってしまうのです。
変形性膝関節症や関節炎が原因ではない膝痛は
改善の可能性が非常に高いと言えます。整体などによる
筋肉のバランス調整や、正しい動きの再教育によって
根本的に痛みが改善するケースが多いのです。
「年齢のせい」は本当に仕方がないこと?
病院や整形外科でで膝の痛みについて
相談すると多くの方が
次のように言われた経験が
あるのではないでしょうか?
「膝の軟骨がすり減っていますね」
「年齢的なものなので仕方ありません」
このように説明されると
「もう治らないのかな…」
と不安になってしまいますよね。
“年齢のせい”という言葉には
少し誤解も含まれています。
人間の体の60〜70%は水分でできており、
軟骨や筋肉、関節周辺の組織もすべて
水分を多く含んでいます。
特に軟骨(膝の場合は半月板)は柔らかく
クッション性があり、関節の衝撃を
吸収する大切な役割を果たしています。
加齢に伴い体内の水分量が減ってくると
軟骨も少しずつ乾燥し、弾力性を失い
サイズが小さくなっていく=「軟骨が減る」
状態になるのです。
この現象は、肌の保湿とよく似ています。
若いころは肌にハリや潤いがあり
しっとりとしていますが、年齢とともに乾燥が進み
シワができやすくなりますよね。
軟骨もそれと同じように、保水力の低下によって
機能が低下するのです。
大切なのは「じゃあ何もできない」
と諦めることではありません。
適切なケアをすることで、膝への負担を軽減し
関節の動きを改善することは十分に可能なのです。
整形外科で異常なしでも
改善できる「膝痛」があります
膝の痛みの原因は、「軟骨が減った」
「年齢のせい」だけではありません。
筋肉の硬さ、姿勢のクセ、体の使い方など
関節以外の要因が原因になっている膝痛は
整体などによるアプローチで根本改善が目指せます。
「もう治らないかも」と感じていた膝の痛みも
実は改善の余地があるかもしれません。
本当に必要なのは、「異常なし」
と言われたその先のケアなのです。
関節に問題ないのに、なんで痛い!?
座っている姿勢から、立ち上がる時…
膝に痛みが出てスムーズに立ち上がれない。
年齢的に膝が悪くなってきた?と疑問を抱くでしょう。
診察・検査を受けても「特に異常なし」
確かに、歩いている時や階段で特に痛いことはない
時々、動き出しの時にすごく痛い時がある。
普段からしっかりと体操やストレッチをやって
健康維持でウォーキングもやっているのに
膝の内側に痛みが出たりする。
膝が痛い=膝の関節が原因
そんな風に考えてしまうケースが非常に多い。
現場でご高齢の方を多く対応していますが
昔と異なり、膝の痛みが出ていても
それほど膝関節に大きな変形が認められない。
一説には生活スタイルの変化に起因するとも
言われています。
30歳代〜50歳代の方で
重度のケガ(スポーツ外傷)の経験がなく
膝関節内部に問題を起こしている
可能性が低い。
それでも膝の痛みが発生する。
理由の多くは膝を動かしている筋肉に因るもの。
特に女性で多く認めるケースとしては
太ももの内側の筋肉が強く緊張し
関節の内側に負担を掛けて発生させる
「鵞足炎(がそくえん)」
を多く認める印象を受けます。
鵞足(がそく)ってなに?
太ももの内側には、足全体を内側に動かす筋肉が
複数存在していて、それを内転筋と呼んでいます。
その内転筋の中でも主要の3つの筋肉があり
縫工筋・薄筋・半腱様筋(深層に半膜様筋)
と名前のつく筋肉があり、その3つの筋肉が
鵞鳥の足のように膝の少し下の内側で筋肉が
停止していることから、鵞足(がそく)と呼び
その部分で炎症が起きてしまって痛みが発生する
と「鵞足炎(がそくえん)」と言われています。
この鵞足炎を発生させるケースでは
運動で起こす鵞足炎は男性に多く、運動ではなく
日常生活レベルでの鵞足炎は女性に多く
認められています。
個人的見解で根拠は全くありませんが
男女に於ける骨盤形状と生活スタイルの違いから
発生原因の違いが生じしているのではないか?
と考えています。
膝痛の原因が骨盤の歪みからの可能性
骨盤にゆがみが生じると
左右の足のバランスが崩れることで
筋肉バランスが崩れる割合が高まります。
利き腕があるのと同じように
足にも利き足があり、使いやすい足側の
筋力が強化されていることが多く
見受けられます。
健全な状態であれば、キレイに左右の
足の筋肉はスムーズに動いている。
骨盤にゆがみが生じて
左右の足が上手に使えなくなり始めた
段階から、徐々にバランスを崩します。
左右のバランスが崩れることで
膝の曲げ伸ばしに大きく関係する
太ももの筋肉。
大腿四頭筋と呼ばれる筋肉が
膝を伸ばす際にメインで動く筋肉。
膝を曲げる際にメインで動く
ハムストリングス筋。
この表側と裏側の筋肉バランスをも
崩すことがあります。
実はこのアンバランスで
筋肉が上手に動かせずに膝に痛みが
でてしまったり、歩きにくくなる
可能性があります。
骨盤のゆがみは、腰痛にとどまらず
股関節の痛みや膝の痛みに筋肉バランス
の要因で関係することがあります。
当院がカラダのバランスに強くこだわる
その理由は、人間のカラダは上手に
バランスが保たれた状態であればこそ
いい状態で過ごせる考えに
基づくものです。
痛みがある時の注意点
・柔軟体操やストレッチは控える
・痛みがある時には温めない
セルフケアでどうにか改善したい
その気持ちはよく理解できますが、痛みがある時
にセルフケアを実践するのは痛みを増やす要因に
なることが多いのです。
多くの場合
痛みの原因は炎症症状があるため
筋肉に炎症が起きて
痛みを引き起こしている可能性が考えられます。
この場合、ご自身でどうにかしたいと
体操やストレッチなどの運動療法を行うのは
刺激を与えることは身体に反応を
与えてしまうことになるのです。
強く痛みが出ている場合には、なにより安静です。
ズキズキ痛む時は、やんわり冷やすようにすると
痛みが落ち着いてきます。
膝が痛いから膝だけ問題?
膝が痛いから、膝を良くしなければ。
そんな考えをもたれると思います。
人間の身体全体として考えると…
膝も1つの関節です。
関節は多くの筋肉があって動かせるもので
膝を動かす筋肉は骨盤についています。
骨盤ー股関節ー膝関節ー足関節
膝を動かす為には多くの関節と筋肉が
連動して動かせるようになっています。
膝が痛いから、膝の関節が悪い。
股関節が痛いから、股関節が悪いと
考えがちですが…
膝関節だけが不具合を起こしているとは
限らないケースも多く認められます。
骨盤の歪みから、筋肉のバランスを崩し
膝に痛みを出しているもの
足の関節のアライメントが崩れていて
歩く時に膝に負担を掛けるもの
股関節の動きに制限が出ていて
膝の関節がその動きをフォローして
膝痛を出してしまっているもの
その原因は1つではないと現場で対応して
いる中で感じています。
身体全体のバランスを見て
同時に膝に関係する骨盤や股関節、足関節
にも着目して、膝の動きがどうなのか?
そうした視点で観察することが
大切だと考えています。
コラム執筆・監修者
株式会社カラダ・リバランス
バランス・ラボ整骨院
代表取締役 新藤 公一
厚生労働大臣認定 柔道整復師
公益社団法人 東京都柔道整復師会 会員
公益社団法人 日本柔道整復師会 会員
経歴:
中野区内整骨院勤務 10年
杉並区内整骨院 分院長勤務 20年
2017年11月に杉並区阿佐谷南に
バランス・ラボ整骨院
バランス・ラボ整体院を開院